2004.10.20
物事には、守ったほうがよい順番というものがあるらしい。
でも、たまにまちがえないですか、みなさん。
私はよくまちがえる。
顔を洗ってから眼鏡を外す、等の個人レベルのものならよいのだが、
電車に乗ってから方向を調べる、道に迷ってから地図を見る、になってくると、
少しずつ社会生活に影響が出てくる。
私は本来慎重な人間である。
石橋を見たらたたいて渡ってやろうと、常にピカピカのトンカチを携えている。
しかし残念なことに、今いるその場所がまさに石橋であることに気づかないことがままある。
そして気がついたときには、すでに渡り終えてしまっているのだ。
だったらそのまま進みゃいいのだが、
驚いたことに私は、やにわにトンカチを振り上げ、今渡った石橋をたたき始めるのである。
すると、たまに一瞬のうちにガラガラと崩壊する石橋もある。
「きぃゃぁぁぁぁっ!」 下のほうからかすかに叫び声が。 誰かが瓦礫の下敷きになったにちがいない。
私は頭を抱える。
「なぜ…なぜ、たたいた? もう戻れねーじゃん!」過去へ
くよくよするうちに夜がくるので、結局そこで野宿をするハメになる。
もの哀しいフクロウの声を聞きながら、私は思う。
「そうだ。 石橋などなかったことにしよう」
この答えに到達したら、夜は長い、もう寝ちまうに限るのである。
大道芸が終わって握手するとき、たまに握手をしてから手を拭いてしまうことがあります。
これは、うっかり順番が狂ってしまっただけで、全く悪気はないんです。
そんな目にあったおぼえがある人、ごめんなさい。